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No.96 「新年の抱負」

ペンネーム:みゆぽん

 約12年前、札幌市内の某小学校で栄養士として勤務していた時、毎日、教室に出向いて子どもたちと一緒に給食を食べていた。ある学級は、他のクラスで大量に残るひじきの煮物も野菜のおひたしも毎日完食だった。先生が子どもたちに無理強いしている様子もない。それどころか、子どもたちが食べ残しをするまいと自発的に動いていて、私はその感動の場面を見たくて、毎日のようにその学級にのぞきに行っていた。当時の担任の先生にコツを聞いたけど「いやぁ、特に何もしてないですよ」と、笑顔でスルー。いったいどうやって子どもたちの「新奇性恐怖」を取り除いたのか、今でも謎のまま。

 

 それから12年経った今、学校給食、いや世の中全体が「嫌いなものがあっても、頑張って食べなくてもよい」が主流、いや鉄則なので、そのようなマジックで魅せてくれる先生もいないと思うとなんだか寂しい。

 

 昔は、苦手な食べ物を上手に勧める大人がたくさんいた。学校には、種も仕掛けもわからないマジックのように、一瞬で子どもたちの「新奇性恐怖」の壁を取っ払って、連日、完食を達成し続ける先生がいた。そして、社会では、お節介な上司などがいたのかもしれない。私自身は憧れて尊敬している人がホヤ、カニの内子、ナマコなどを「おいしいよ」と食べていたから、食べられるようになった。それをきっかけに、私の「新奇性恐怖」はなくなり、大の苦手だったモツ!のサンドイッチを旅先のイタリアで自ら選ぶぐらいまで成長しました。(まあ、どれも栄養学上、食べれなくてもいいんじゃないの?っていう食材ではありますが)

 

 今は「給食が原因で会食恐怖症になった」とか、なんとかハラスメントなんて言われかねない時代だから、勧め上手な大人の数は減り続けているだろう。これは、栄養学上も日本の食文化においても危機的なことだ。なんとかしたい。

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