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No.95 「保育士の卵たちに願うこと。」

釧根支部 佐藤あゆ美

 地元の保育士養成校で、子どもの食と栄養に関する講義を担当しています。毎年、講義の冒頭で、こんな課題を出しています。
 日本の子どもたちの栄養と食生活について。これまでに見聞きした問題点を考えてみよう。また、保育士として、それらの問題に対してできることは何だろうか。
 ほとんどが高校卒業から半年足らずの学生たちです。問題点に上げるのは、朝食欠食・偏食・野菜不足と共通しています。保育士ができる取り組みとしては、「食べる楽しさ、大切さを紙芝居や絵本で伝える」「みんなで野菜を育てて、一緒に料理する」「料理の工夫」「保護者への声掛け」など、拍手を送りたい意見ぞろいです。子ども達のために、解決策をまじめに考えています。毎年、関心させられます。彼らは、専門的に学ぶ前から、ある程度の知識は持っています。

 しかし、同じ学生たちに、数週間後、各自の食事バランスガイドを記入させると愕然とします。昨日一日の自分の食事を数に置きかえて塗りつぶします。今年、コマが倒れない学生は、15人中1人(男子)でした。講義が月曜日なので、日曜日の食事を書くという事情もありますが、8年間、この結果は、ほぼ変わりません。私は、毎回、ちょっと大げさに心配の声を上げて、伝えます。
 「まずは実習期間、必ず朝食とろうね。牛乳、飲むヨーグルト、豆乳のどれかとパンやおにぎりでいいよ。とにかく、糖質とタンパク質の2つを意識して。」五大栄養素の講義で、朝食の重要性をしつこく話した後なので、神妙に聴いているように見えます。

 2年間の学びの中で、施設・幼稚園・保育園での2週間の実習をいくどか体験して、彼らは教育・保育のプロをめざします。容易なことではないでしょう。緊張、疲労、ストレスで心が折れそうになる場面があるかもしれません。しっかり食べて、たっぷり寝ていなければ、なおさらです。
 「ベストコンデションで、思いっきり生きて欲しい。しっかり食べたら、気分も体力も変わるから。今までがどうあれ、一度、試して。」と、学生たちに話します。
 自分自身が体験して実感できたことは、伝わる力が違います。彼らには、そんな説得力のある保育士になって、子ども達の食育を引っ張っていって欲しい。

 48歳のとき、大腸を患い、食べることが命をつなぐと痛感し、栄養士をめざした私です。どう食べるかは、どう生きたいかに通じると、今も日々、自分のカラダに教わっています。

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