札幌石狩支部 福祉協議会 山奥の山猫
ここ暫くの間に世の中はコロナウイルスに支配され、すっかり様変わりしてしまったようです。私の勤務する知的障がい者施設も例外ではありません。外食や帰省といった日常生活の中で大きな変化や楽しみも奪われてしまいました。そんな中ではありますが栄養管理に於いては良い事もありました。以前は、「毎週末に帰省し体重が数キロ増加してくる。」という方も数名いらして、「好きなものを好きなだけ食べさせてあげたい。」と云う親心から出た結果で気持ちはわからないでも無いのですが、栄養士としてはBMIが30、40という数値は頭の痛い事でした。
今は帰省が無くなった事で改善され、結果だけ見ればとても良いのですが、親御さんとしては施設の食事やおやつの量では不憫に思え、食事摂取基準などは我が子の人生最大の楽しみを奪う悪法なのです。以前、BMI 30超えの方で「夕食から朝食まで時間が長いので寝る前にバナナを食べさせて欲しい。」と強く要望された親御さんがいらしたのですが、家では当たり前のことも施設では通りません。
「うちの子は食べることを制限してまで健康的になる意味は無い。 寿命が縮んでも、いつでもお腹いっぱい食べさせてあげたい。」という要望をお持ちでした。「施設入所中は制限が沢山ついて廻ります。一人だけ許可することは出来ないのです。」と説明するしかないのですが、親御さんの障がいをもって生を受けた我が子への気持ち、今までの御苦労を察したり寄り添うことは出来ても、同じ立場で無ければ、けっして本当に理解することはできないと思うのです。病院などと違い入所後は長期のお付き合いになるので、嫌われてもやることをやり続けなくてはならず、栄養士はなかなか辛い立場ではあります。